曇り時々滲み
Leitz minolta CL
Canon 25mm F3.5
(後玉クモリ)
Kodak PORTRA 160NC
探していた Canon 25mm F3.5 という古いLマウントレンズを中古カメラ店のWebで見つけた。ちょっと高めの値段だったけど状態は良いとのことだったので即行で注文した。発送間際になってカメラ店から電話がかかってきた。後玉にクモリが見つかった。行く行くは写真に影響が出るので半額にするという。今は問題なく写るというので二つ返事でその難あり品を買った。届いたレンズは見る限り普通だったけど、試写をしてずっこけた。パンフォーカスで撮った写真もご覧の通りところどころ滲んでしまっている。クモリを承知でしかも半額で買ったので返品するわけにもいかず、やけくそで滲み写真を添付しヤフオクで難あり品として出品したら買値より高く売れた。幸せだった。後日、写真の整理をしていて件の滲み写真たちを眺めていたら、この滲みが何ともいえない味に思えてきた。あのときは騙された!という感情が先走って冷静に写真を見られなかったのだ。売ってしまったレンズを想い悶々と過ごす日々。ある日思い切って売った相手にメールしてみた。レンズを買い戻したいのですが。返事はつれなかった。手頃な値段の 25mm を 6年間も探してやっと手に入れることができたので手放すつもりはないとのこと。 6 年という 2 文字に悶々とした私の気持ちはどこかに飛んでいってしまった。あの滲みレンズは、あの人のところに行くべくして行ったのだ。それでよかったのだ。手元に滲んだ写真が残っただけ幸せなのだ、と思うことにした私だった。 |