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「遠行希(えんこうき)」というモノクロ写真集がある。銀城アトムという写真家によるものだ。14年間に渡りフランスで撮りためたという写真には、私の目を惹き付ける独特のインパクトがあった。低いコントラスト、ところどころ滲んだ、まるで解像感のない描写。しかし、その柔らかい粒子はとても美しい。写真集の感想をメールで送った際に、思い切ってその独特の世界について質問してみた。返ってきた答えにカルチャーショックを受けた。撮影は主に冬、できるだけ天気の悪い日を選び、列車や自動車、家などの窓越しに撮影するという。曇ったガラスを手で拭った部分がソフトフィルターの役目をするという訳だ。+4という限界まで増感したフィルムの現像も、その柔らかいトーンからは想像もできない液温40℃の高温現像だという・・・。写真とは何か、改めて考えさせられた。良い写真を見ると同じように撮ってみたくなる。作者の気持ちに少しでも近づきたいからだ。このギャラリーのタイトルも「遠行希」のサブタイトルをそのまま使わせて頂いた。 |